Posted by | 川庄 康夫 Yasuo Kawasho |
1.調査の時期
税務署の個人課税部門は、所得税の確定申告が終わりその整理に追われているため、まだ税務調査に出ることはできませんが、法人課税部門は確定申告に関係なく税務調査に出かけます。
税務署の人事異動は毎年7月10日に実施され、その時期に1年間の目標調査件数と金額の呈示(ノルマ?)をうけた調査官は、12月末迄にできるだけ多くの税務調査を消化し成果をあげようと努力します。
脱税行為や仮装隠蔽行為があった場合は、重加算税が課されますが、重加算税を課すことで調査官の評価は高まります。そのため税務調査の現場で調査官は重課税を課すために質問応答書を書かせようとします。この質問応答書は拒否しても罰則はありません。万一裁判になった場合には質問応答書に書かれている内容は、納税者がその事実を認めていることになります。
1月から3月迄は所得税の確定申告期間中のため、腰を据えて税務調査はできないので7月の人事異動までの残り4月以降6月迄に残り件数を実施することになります。年間の1人当たり調査件数は25件前後と言われています。12月末迄にある程度、件数と質の目途が立っていれば良いのですが、調査官に話を聞きますと簡単に達成できないようです。そのため所得税の確定申告終了時期が近づくと4月以降税務調査に来たいとの連絡が会計事務所に入ります。当事務所もこれから7件の税務調査依頼を受けています。
一般的に税務調査で訪問するのは3日間と言われていますがこの時期は1日だったり2日だったりと当初の予定よりも少ない日数で終了することで目標件数をクリアしているようです。
先日4月上旬に終了した税務調査の調査官に聞いたところ入署間もないので、調査件数の割り当ては15件と言っていました。何件終わりましたかと尋ねると、終了は7件とのことで、4月~6月上旬までにあと8件調査完了しないといけないとのことです。少し厳しい感じがします。
2.4月から6月迄の税務調査対応
4月からの税務調査は、調査件数の消化をしなければいけないという考えを持つ人が多いので徹底的に調べるというより、話し合いで決着する傾向があります。12月迄の税務調査であれば取引先に反面調査に行き裏付けを取るなど、納税者が反論できかねるような調査を行うこともありますが、4月からの税務調査はそれ程でもないため、この時期の税務調査はラッキーと思うこともあります。
税務署の署員は若い人が多くなっています。先月は税務調査の練習台として調査をさせてほしいと連絡が入りました。
3.日常業務が大事
税務調査の目的は、納税者が適正な申告を行っているか否かを確認することにあり、もし誤った申告がなされていれば修正し今後適正な申告をしてもらうことです。
収入-必要経費=利益(所得)で納税額が決まります。
収入は正しく期間ズレがなく計上する、決して収入除外は行わない。
必要経費は、その支出金額が事業に関連したものに限られます。
領収証があれば、必要経費になるという訳ではなく、その支出が事業関連性のあるものであることを納税者が証明することが必要です。そのため領収証の表に相手先名や会社の名前を記載することをお勧めします。
飲食の場合、1人当たり5,000円以下であれば税務上の交際費とならないので、領収証に、飲食であることとその人数、相手の氏名等を記載することが必要です。
商品券等は現金同等物と見られます。調査官が疑うのは、それらが換金され、社長の懐に還流していないかでありそのため社長個人の銀行口座の反面調査をしたりします。商品券をいつ、誰(事業関連性)に、いくら渡したかを記載しておく必要があります。
納税者が事業関連性を明示していると、それを覆すのは税務署側ですが、領収証などに何の記載もないとあとで事業関連性を証明することは困難となってしまいます。日々記載することで適正な申告が可能となります。
川庄会計グループ代表 公認会計士 川庄康夫
Posted by Yasuo Kawasho
代表取締役 川庄 康夫
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