1.為替の問題
現在、為替は1ドル160円近辺に張り付き始めました。日本はエネルギー・食料品等を輸入に頼っているので、円安になると国内の輸入物価が上がり国民生活に影響が出ます。円安は輸入企業にとってはマイナスですが、輸出企業にとってはプラスの影響があります。円安に振れているのは日米の金利差・貿易赤字・デジタル競争力の低迷等によるものです。その中で一番大きいものは、日本と米国など海外との金利差が考えられます。
今年4月に、日銀は政策金利を0.25%引き上げると予想されていましたが、高市首相は日銀が政策金利を上げると景気が低迷するかもしれないとの思惑もあり、日銀の植田総裁はアメリカ・イスラエルとイランとの間の戦争状態やそれに伴う原油価格の動向等が不透明等理由をつけて高市首相に忖度し金利を引き上げませんでした。
日米の政策金利差は、かつて5%程ありましたが、日銀の利上げや米連邦準備理事会(FRB)の利下げを経て、現在は3%まで縮まってきました。さらに対ドルの円相場を押し上げているのは、日本経済の構造上の問題があります。
2011年の東日本大震災をきっかけに、原子力発電所が全面停止しました。日本はエネルギー全体の8割以上を、石炭や液化天然ガスなどの化石燃料に依存するようになりました。これにより膨らむ燃料費が輸入額を押し上げ、11年ごろから貿易赤字が目立つようになりました。輸入企業は手元の円をドルに交換するため、輸入額が輸出額を上回ると円の海外流出が増え、円安に振れやすくなります。
ある銀行系コンサルによると、足元の金利差や国際収支を踏まえた適正な為替水準は4月30日時点で145円程度と言っていましたので、6月の日銀の政策金利決定会合では政策金利を上げると思われ、円高に振れるものと思われます。
しかし、イランとアメリカ・イスラエルとの間の戦争状態によっては、戦争の終結が長引くかもしれないので、予断を許しません。
川庄会計グループ
公認会計士 川庄康夫
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