Posted by | 川庄 康夫 Yasuo Kawasho |
2.上場企業の不倒神話の崩壊
経営者は、驕りを持たず、常に謙虚な気持ちで企業経営に望みリスクヘッジを計らなければなりません。2008年のリーマンショック後、トヨタ自動車は1兆円の赤字を出しました。その当時豊田章男社長は、このまま13年間赤字が続けば(トヨタ自動車はその当時13兆円の現預金を保有していましたが)トヨタ自動車は倒産するとの危機感を表明し、社内を引き締めて、極端な円高のなか、2年程で赤字を脱却し黒字経営へと転換させました。
又同じ時期、日立製作所もデジタル家電などの弱電事業の赤字を電力、通信向け事業で補う「総合経営」が行き詰まり、09年3月期に過去最悪となる7800億円の連結赤字を計上しました。この時、川村隆社長は「現金がみるみるうちに減っていった。会社は簡単に沈むものと感じた。」と述懐していました。この危機を乗り越えて01年3期から約4000億円の黒字を計上しています。日立製作所は重電・弱電の含めた総合経営を行っていましたので、赤字からの立ち直りも早かったと思われます。
一方、日本を代表するパナソニック、ソニー、シャープ等の弱電に軸足を置いたメーカーはいまだ赤字からの脱却が簡単ではないようです。上場IT企業も急激に会社を成長させましたが、上場後数年で赤字になったり、循環取引で粉飾決算を行って、担当していた監査法人へ金融庁から行政指導が入ったインデックス等も、上場後15年ほどで市場から退場しました。上場すると、売上・利益目標を設定しそれを達成しようとするために無理に無理を重ねることになるのでしょう。
昭和60年に出版された「会社の寿命」によると、「会社の寿命」は約30年なのだそうです。これは即ち、企業が成長段階から成熟、そして衰退期を迎えるライフサイクルは何もせずに放っておく限り、30年ほどしかもたないということです。今の世の中は、少子高齢化でグローバルな競争状態です。時代の波に漂い流れに身を任せているだけではいずれ衰亡の運命をたどるということが必定とするならば、今日の波が引き潮に変わらぬうちに明日の波に乗換えて新しい企業の生命力を獲得すべく、新しい船出をしなければなりません。
既存事業に余裕のあるうちに自社の周辺事業に進出したり、新規分野を開拓し、明日の事業の種をまき育てることです。そのための条件を時間を掛けて企業内に作り出し、時代環境の変化に対応して会社の内容を変化させる態勢を整えなければなりません。
会社の寿命を永らえさせることができるか否かは、経営者の時代を見通す見識と、決断力と、全社一丸となって社員力を出し切る組織の熟成にあります。たとえば、日本を代表する総合金融業のオリックスは、会社設立後約50年が経過しています。リース業からスタートし、顧客のニーズに取り組んだ結果、また、出資スポンサーの言う通りにせず、独立独歩の道を歩んできたので、経営者の強い思いがオリックスをエクセレントカンパニーにし、まだまだ発展途上にあります。
川庄会計グループ 代表 公認会計士 川庄 康夫
Posted by Yasuo Kawasho
代表取締役 川庄 康夫
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