更正の請求は簡単に言えば、確定申告などで税金を多く納め過ぎていた場合に取り戻す手続きのことですが、この手続き期限は従来、法定申告期限から1年でした。
これまではこの手続き期限が1年以上経過してしまった場合は、税務署長あてに「嘆願書」を出して、返してほしいとお願いするほかありませんでした。
そしてそれを受けて税務署では、それが更正ができる期間内であれば、その内容を検討し、職権で減額更正を行ってくれる場合があります。
今回の改正で、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税について、この「更正の請求」ができる期間が1年から5年に延長されました。
ところで、今回、税務署から出されている書式を見ると「更正の請求書」と内容はほぼ同様のもので「更正の申出書」という書式が新たに制定されています。
この違いは何かと税務職員に尋ねたところ、「更正の申出書」は平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する国税で、更正の請求の期限を過ぎた課税期間について、税務署の増額更正ができる期間内であれば、この「更正の申出書」を提出すれば対応するという回答でした。
つまり、従来は嘆願書を出していたものが、この「更正の申出書」で対応が可能になったということですね。
これは平成23年度の税制改正大綱で「過年分についても、運用上、増額更正の期間と合わせて納税者からの請求を受けて減額更正を実施するよう努める。」とされていることを受けて運用されるものですが、アメばかりではなく、ムチも用意されています。
更正の請求の改正のあらましをよく見ると注意書きの4番目に小さく、この更正の請求の期間の延長に合わせて、所得税、消費税などこれまで3年とされていた増額更正を行うことができる期間も5年に延長された、と書かれています。
もちろん最初から間違えずに申告する方が無難ですが、このような救済措置があることを知っておいて損はないと思います。
川庄会計グループ 川庄公認会計士事務所 井本 剛志
お客様の声 2024-04-19
令和5年度の税制改正により相続税法の改正が行われました。 主な改正点は以下となります。 ① 相続時精算課税制 ...
経営コラム 2024-04-12
これまでは、申告書等を書面で提出する際に、申告書の控えと返信用封筒を同封すれば、後日収受日付印が押なつされた書類が返送されていました。 し ...
節税対策 2024-04-05
桜が満開となりました。お花見という名目で飲みに行く機会も多いのではないでしょうか。そこで会社の交際費について書いていきます。 資本金1億円以 ...
人事労務コラム 2024-03-29
2024年度税制改正関連法が3月28日の参院本会議で可決、成立し、 1人当たり4万円の定額減税が実施されることになりました。   ...
相続・事業承継コラム 2024-03-22
4月1日より相続登記の義務化が開始されます。相続登記とは被相続人の所有していた不動産(土地・建物)の名義を相続人の名義に変更することを言いま ...