4月になりました。
令和6年分の個人の所得税や消費税の確定申告も終わり、いよいよ新年度が始まりましたね。
ほっとしたのも束の間、税務署や国税局の調査等がまた、再開されると思います。
今回は、私が平成4年7月から平成9年7月まで在籍(現場での実務は4年間)していた福岡国税局の「査察部門」に触れてみたいと思います。(テレビや新聞などで「査察(の調査)が入った。」と言うようなニュースは耳にすることがあると思いますけど、「査察」がどのようなものかは一般的に、ご存知ないでしょうから)
福岡国税局においては、「調査査察部門」として設置されています。
これは、組織の運営上「調査課」(福岡国税局所管の上場企業等を管理、調査等を行う部署で、私が知る範囲では上場会社等大手企業を対象とし、調査等では企業側にて事前に関係書類が準備されているような調査となる。)と「査察課」(裁判所からの捜索令状をカタに、「ガサ入れ」の強制調査を行う部署)が、一緒になっています。(組織の運営上、部署は一緒ですが、内容的には完全に別物です。)
「査察課」は査察管理課(総務等)、査察部門、(派遣)特別国税査察官により構成されています。
「査察部門」は、1、2部門があり通称「情報部門」と称され、3、4部門は、通称「実施部門」と称されています。
「情報部門」は、主に福岡国税局管内を中心とした金融機関等の調査や関係先で情報の収集を行い、「査察事案」を立案するための係です。
「実施部門」は、「査察事案」として着手が決定され、裁判所の捜索差押許可令状を基に「強制調査」を行った後、関係者等から質問調査等の資料収集を行い脱税所得や脱税額を算定し、検察庁に告発し立件(刑事罰となり前科がつく場合があります。)までを行う部署です。(ちなみに私は、「実施部門」に所属していました。)
「情報部門」の仕事の内容は、私は所属していなかったので、詳細は承知しておりませんが、毎週どちらかの地域に、月曜日から出張、金曜日に帰ってくるようなパターンが多かったと思います。(ずっと出っ放し)
「実施部門」は、「強制調査」で差し押さえた物件(帳簿や関係書類等)から、脱税につながる物証を見つけ出し、関係者に「質問調査」を行いその答弁内容を「質問応答記録書」として作成し、脱税(犯則)所得と脱税(犯則)税額の算定を行います。
その金額が、内部で定められた基準に該当しないと、検察庁に告発できません。(「お流れ」又は「流し」と言いますが、金額を算定した上で、課税情報を税務署等に差し戻し、税務署が手続きすることになります。)
なお、検察庁に告発したら終了ではなく、その後、担当の財政担当検事の配下となり色々な仕事を仰せつかります。(検事からあれが足りない、これはどうなっているのか、不足する分を補って等…で、検察官の手足になるような場合もあります。)
「強制調査」の際には、「査察管理課」「情報部門」「実施部門」「特別査察官」等を含め一体となり、本部、各現場の部署に別れて、各関係個所に一斉にとりかかります。人数が不足する場合は、熊本国税局査察部門に応援派遣要請します。(逆に私も熊本国税局の査察に、何回か派遣され熊本国税局に併任されたことがあります。役所仕事なので、必ず「辞令」が交付されます。)
それでも大掛かりな査察事案の場合で、人員が足りない場合には「調査課」や、税務署の「特別調査部門」担当者まで、応援を頼む場合もありましたね。
しかしながら、当時の内部の事情を申しますと、「情報部門」と「実施部門」の上役同志は、非常に仲が悪かったですね。若手は仲良くしていましたけど。
立案された事案を、最初から借入金とわかっていながら預金財産があるとごまかして立案にしていた、騙したな。等…
これだけの資料や情報を提供してやっているのに立件しきらん、… とかですね。
当時、実際に、「情報部門」の独自立案は少なく、税務署の連絡事案(税務署の調査の過程で、多額の不正が見込まれる事案は、査察に報告するシステム)が多かったのも事実ですね。
私自身、税務署が調査しているのに知らないフリの芝居をして、査察調査として着手させられたことが何回かありました。
今回は、ここまでとさせていただき、色々な情報も順次、発信したいと思います。
川庄会計グループ 川庄公認会計士事務所 戸島
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