Posted by | 川庄 康夫 Yasuo Kawasho |
Aさんから「税務署から書類が来ましたよ」と一本の電話がありました。
川庄「年末調整の書類でしたらいつものように会計事務所へ郵送してください」
Aさん「いいえ、年末調整の書類ではなく、お尋ね文書です。提出期限迄1週間程しかないので大丈夫ですか?」と不安そうな電話の雰囲気でした。
川庄「内容は何ですか?」
Aさん「海外資産のことです。書類を出しなさいと記載してあります。」
川庄「国外財産調書のことですね。これは海外へ送金した時にその資料箋が銀行から国税庁へ送られます。その資料に基づいてのお尋ね文書となります。銀行から海外送金したのですか?」
Aさん「海外送金したんです。こんな書類が来るとは知りませんでした。」
川庄「以前、国外財産ありますかと聞きませんでしたか?」
Aさん「忘れていました。」
川庄「わかりました、海外へ送った資料明細と税務署から送られた〝国外財産調書の提出について″を会計事務所へ郵送してください。処理しておきます。」
と答えました。
提出義務者は提出しないと罰則がありますので注意が必要です。海外資産は5,000万円超あれば報告提出義務がありますが、Aさんは5,000万円以下で提出しましたので問題は一応ないと思いますが?・・・
たまたま、この話があったのと同じ時期に別のお客様へ税務署から「900万円の贈与があるようですから資料を揃えて説明に来て下さい」と連絡がありました。
この900万円は相続で取得した財産で相続税の基礎控除の範囲であったため、相続税の申告はしていませんでした。財産分与については遺産分割協議書を作成していますので「これは相続で所得した900万円です。」と税務署に説明し問題なく終了しました。
何故900万円が問題になったのかを税務署員に尋ねると「預金口座を見ていると多額の資金移動がなされていたので、贈与税の申告漏れでないかと思いました。相続での所得の資料を見せていただき問題ないこと了解しました。ありがとうございました。税務調査で何も問題がないという是認通知書を送ります。」で、決着しました。
税務署は多額(?)の銀行間移動資金があると贈与税の申告漏れと思って調べるのかな?と今後いろいろ監視されることになるのかな?2016年からマイナンバー制度が始まり又2018年から銀行預金にもマイナンバーの付番がされ銀行間振替もデータ管理により、贈与は直ちに判明するので税務調査の仕方も大きく変わるのでしょう。
国外財産調書の提出義務者は12月31日現在5千万円超の国外財産(不動産、預貯金、有価証券等)を有している人が対象で平成25年12月31日からスタートしました。平成25年分(平成26年3月15日)の提出は5,539件しかありませんでした。
平成26年からは提出義務がある方が未提出の場合、正当な理由がない未提出や虚偽記載に対しては1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになりました。
このように平成26年分から罰則規定がスタートしたため、26年分の提出は25年分に比して1.5倍の8184件、金額で3兆1150億円の調書提出がありました。東京局が全体の65.8%、東京大阪名古屋国税局で全体の92.4%を占めています。福岡国税局は札幌等その他国税局にくくられ7.6%の中に入っています。
国税庁は近年の活動重点項目として富裕層の資産状況の把握、とりわけ国外財産の把握を挙げており、調書制度も厳格化されました。今年5月に東京都の男性が調査で申告漏れを東京国税局に指摘されました。
5,000万円を超える海外資産を保有していたにもかかわらず調書を提出していなかったとして、通常の過少申告加算税10%に5%のペナルティーを上乗せした計15%の加算税が課せられました。未提出によるペナルティーが課された初めてのケースとなりました。
国税庁は国外財産を重点対象にしていますので、今後このようなケースが増える可能性があります。
また財産債務調書の提出が義務化されました。これは所得税の確定申告者と提出する人で所得金額が2,000万円を超えかつ、その年の12月31日における保有財産が3億円以上を有する方に提出を義務付けるものです。この調書提出に該当しそうな人は、事前にご相談下さい。
川庄会計グループ 代表 公認会計士 川庄 康夫
Posted by Yasuo Kawasho
代表取締役 川庄 康夫
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