経営コラム - 2016-06-09

「貯蓄から投資へ」の一考察

Posted by 川庄 康夫
Yasuo Kawasho

1.経済状況

4年程前安倍内閣は株安、円高、デフレ脱却のためいわゆるアベノミクスをスタートさせました。第一の矢は金融政策です。それでまでは我国ではデフレの状態が20年超に渡って続いていたので、これを解消するため金融を緩和しました。

 

世の中にお金の供給を増やすことで紙幣価値が下落します。このことにより手元資金を物の購入に向かわせたり、金利が安くなることで銀行から融資を受けやすくなり社会にお金がまわりやすくなることを目的としています。

 

一方金融緩和により円の為替レートが切り下がりました。これにより当時1ドル95円程であった為替レートが一気に120円まで下落しました。

 

輸出主導型企業の自動車、家電、造船、海運等は空前の利益をもたらしました。これらの企業の利益は期待されたほど社員の賃金アップには反映されませんでしたが、円安により海外からの旅行者が年間2000万人を超えました。当初は家電等の販売増となりましたが、今ではデパート免税店等で化粧品、雑貨等が購入され福岡市内でも、化粧品等に品切れの状態となった物もありました。

 

2.機動的な財政政策

アベノミクスでは公共事業費を増やして経済を活性化させようとしています。2020年の東京オリンピックへ向けての公共投資や東日本大震災の復旧のため、かなりの規模の公共事業が実施され雇用の受け皿になることが期待されています。しかし工事を行う職人不足により思った通りの公共事業は行われておりません。この政策実行の為に、この状況をいつまでも続けることはできません。

 

3.成長戦略の効果

規制緩和や輸入制限の撤廃等により民間投資を活発にすることで民間企業の商売が推進されます。TPPへの参加も成長戦略の一環と言われています。これが成功しないとアベノミクスの成功もありえませんがなかなかなうまくいきません。

 

4.新3本の矢

無投票で自民党総裁の続投が決まり安倍首相は「新3本の矢」を提唱しました。現在490兆円の我国GDP(国内総生産)を600兆円にすると打ち出しました。2020年迄に600兆円を達成するためには、毎年3%以上のペースでGDPを拡大しなければなりません。毎年家計支出を増加し続けることは賃金ベースアップがない限りとてもできません。

 

5.貯蓄から投資へ

黒田日銀総裁が初めて、マイナス金利を導入し銀行に貸出をすることをすすめていますが、銀行も簡単に貸出先が見つかるわけでもありません。

 

銀行も収益を稼ぐために生命保険の窓口販売や投資信託の販売に力を注ぎ、それらの手数料収入を収益の糧にしつつあります。銀行の投資信託販売は顧客よりも収益を上げることに力点が置かれていることに注意すべきです。

 

今活況を呈しているものに「不動産投資信託(Jリート)」があります。その仕組みは不動産投資法人(以下J―REIT)という法律に基づいた法人が投資証券を発行し、投資家はこの投資証券を購入します。J-REITは投資家から預かった資金で複数の不動産を購入し、それら不動産の賃料収入や物件の売買で得た収入から費用などを差し引いた利益を投資家に分配します。

 

Jリートは一般的な不動産投資に比べて少額からの投資ができます。投資口1口単位で購入でき1口あたりの金額は1万円~数万円~数十万円です。安定性、分配金の高さ、手軽さに始められるのがJリートの魅力です。

 

Jリートは証券取引所に上場されていて証券会社を通してタイムリーに売買することができます。投資した資金の運用も不動産の維持管理もすべて国の登録を受けた不動産運用の専門家(資産運用会社)が行ってくれます。分配金にかかる税金は源泉徴収されるため税務署への申告手続きも不要です。

 

J-REITの場合は一般の法人と異なり利益の90%以上を投資家に分配するなど一定の要件を満たせば法人税がかからないため利益がそのまま投資家へ分配されます。

 

東京都心部を中心とした不動産価格の上昇が続いておりオフィスの空室率の低下が続いているためリートの含み益が上昇しています。昨年末から日経平均株価は11%下げてるのに対し、リートは9%増加しています。但しリートは株式と同じで値下がりリスクもあります。

 

川庄会計グループ代表 公認会計士 川庄 康夫

Posted by Yasuo Kawasho
代表取締役 川庄 康夫

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