節税対策 - 2016-07-08

海外取引と税務当局の情報収集方法 -共通報告基準(CRS)適用開始―

Posted by 川庄 康夫
Yasuo Kawasho

C・R・S(Common Reporting Standard)は、経済協力開発機構(OECD)が策定した政府間で銀行口座情報を自動的に交換するための国際基準です。金融資産の情報を各国税務当局間で効率的に交換し、海外の金融機関の口座を通じた国際的な脱税及び租税回避に対処することを目的としています。

 

海外取引資料の入手方法

①租税条約に基づく相手国との情報交換手続があります。例えば海外取引先の保有する帳簿や申告内容等の情報入手を目的とするような場合です。

②登記事項の取得や外観確認が必要なときは国税庁が派遣している長期海外出張者に対して調査を依頼します。

③国内において民間情報機関を活用した情報入手として帝国データバンク、海外の業者としてはダンアンドブラッドストリート社等が活用されています。

 

情報交換制度

①非居住者である旨を主張する者に対する調査として、関係国に対し納税の状況、経済、社会活動の状況、居住、出入国状況、取引金融機関等の情報を依頼し総合的に判断することになります。

②海外に利率の高い預金を貯金し運用しているような場合その銀行の調査を相手国の税務当局へ依頼し、該当銀行の取引明細書を入手し課税することになります。

 

自動的情報交換制度は、相手方の納税者に係る情報を自動的定期的に交換するものです。海外においては我国税務当局の質問検査権はたとえ日本人であっても使えず課税上弊害が出てきます。

 

そこで昨今は国外送金調書等が資料活用されています。我国から海外へ多額の資金を動かした場合、相手国での利子又配当、不動産収入等の課税洩れにもなるし、又我国においても課税洩れが生じる場合もあります。

 

今年から国外送金についてはマイナンバーの記入が義務付けられましたので、キーを叩けばその人(Aさん)の国外送金記録は一覧できることになりました。

 

C・R・Sにより、各国の税務当局は自国の金融機関(銀行、証券会社、信託銀行、保険会社等)から非居住者の口座情報の報告を受け、その情報を口座保有者の居住地国の税務当局と情報交換を行います。交換される情報は口座保有者の氏名、住所、納税者番号、口座残高、利子配当の年間受取額が含まれます。海外の生命保険会社に加入し死亡保険金を海外のオフショア地域に設立したプライベートバンクへ入金したまま日本国内には送金しなかったものが生命保険金の課税洩れとして指摘を受けたと聞いたことがあります。

 

自動的情報交換制度により、法定調書から把握した非居住者等への支払等に関する情報を、外国税務当局との間で交換し、海外投資所得の申告洩れの把握等に活用した件数は平成26年度で約13万7千件となっています。

 

他方外国税務当局から国税庁に提供された「自動的情報交換」の件数は約13万2千件です。「自動的情報交換」は法定調書から把握した非居住者等への支払等(配当、不動産所得、無形資産の使用料、給与、報酬、キャピタルゲイン等)に関する情報を支払国の税務当局から受領国の税務当局へ一括して送付するものです。

 

そのためOECDは平成26年にC・R・S及びその実施項目公表し、G20において各国がこれを承認しました。この基準に対応するため我国では平成27年度税制改正において国内に所在する金融機関から口座保有者の氏名、口座残高、利子配当等の年間受取総額の情報を報告させる制度を導入しました。同制度は平成29年1月1日から施行され、平成30年4月30日までに国内に所在する金融機関から初回の報告、同年9月30日までに初回の情報交換がなされる予定です。その資産の種類に応じた日本及び財産所在地国の租税制度を理解し、適切な税務申告を行うことが必要となります。                               

 

川庄会計グループ 代表 公認会計士 川庄 康夫

Posted by Yasuo Kawasho
代表取締役 川庄 康夫

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