経営コラム - 2021-08-26

消費税のインボイス制度 免税事業者の選択

令和5年10月1日から消費税に「適格請求書等保存方式」いわゆる「インボイス制度」が導入されます。

 

その中で免税事業者の事業者登録の手続きにはどのようなポイントがあるか、確認してみましょう。

 

➀「適格請求書等保存方式」による書類とは?

・適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号が記載されていること。

・取引年月日が記載されていること。

・取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)が記載されていること。

・適用税率ごとに合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率が記載されていること。

・適用税率ごとの消費税額の記載がされていること。

・書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称が記載されていること。

上記の全ての要件を満たした請求書等をいいます。

 

②インボイスを発行できる「適格請求書発行事業者」とは?

・消費税の課税事業者のみが事業者登録することができる。

・「適格請求書発行事業者」になるには、納税地の所轄税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し登録を受ける必要がある。

・免税事業者の場合、令和5年10月1日を含む課税期間中に登録を受けた場合は、課税事業者選択届出書の提出は必要ありません。適格請求書発行事業者の登録申請書の提出だけで良い。(下記参照)

★登録申請書の次葉の「免税事業者の確認欄」に「□令和5年10月1日の属する課税期間中に登録を受け、所得税法等の一部を改正する法律附則第44条第4項の規定の適用を受けようとする事業者※登録開始日から納税義務の免除の規定の適用を受けないこととなります」の□にチェックを入れて提出する必要がある。

☆上記以外の課税期間について、免税事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、登録申請手続きを行うだけでなく、消費税課税事業者選択届出書を提出する必要があります。

 

③「適格請求書発行事業者の登録申請書」はいつからできるのか?

・令和3年10月1日から提出ができる。

 

④申請期限はいつ?

「インボイス制度導入初日(令和5年101日)から登録するためには?」

・原則令和5年3月31日までに申請書を提出する必要がある。

※特定期間における判定により納税義務が免除されないこととなる場合は、令和5年6月30日までに申請書を提出する必要がある。

・上記期限までに登録申請書を提出できなかったことにつき「困難な事情」がある場合には、同年9月30日までの間に登録申請書にその困難な事情を記載して提出し、税務署長より適格請求書発行事業者の登録を受けたときは、同年10月1日に登録を受けたこととみなされる。

※「インボイス通達5-2」より、この「困難な事情」については、「登録申請書を提出することにつき困難な事情があれば、その困難の度合いを問わず改正令附則第15条に規定する経過措置を適用することがきることに留意する」とあり、何らかの事情が記載されていればその事情の内容は問わないで取扱いますよとなっている。

 

⑤上記登録申請書を提出した場合の納税義務はいつから?

・令和5年10月1日(登録事業となった日)からです。

※令和5年9月30日以前は免税事業者。

 

⑥適格請求書発行事業者の登録申請を取止めて、免税事業者を選択したい場合。

・「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出することで、適格請求書発行事業者の登録の効力を失わせることができる。

※課税事業者選択届出書を提出して課税事業者となった者は、その課税事業者選択不適用届出書を出す必要があるので、翌年以降の適用となるので注意する。

 

⑦免税事業者が簡易課税制度を選択する場合はいつ届出書を提出したら良い?

・令和5年10月1日の属する課税期間に適格請求書発行事業者の登録を受け、登録を受けた日から課税事業者となる場合、その課税期間から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載した「消費税簡易課税制度選択届出書」をその課税期間中に提出すれば、その課税期間から簡易課税制度を適用することができます。

※個人事業者や12月決算法人の場合、令和5年12月31日までに提出すれば適用ができます。

 

※適格請求書発行事業者の義務が免除されるもの

・3万円未満の公共交通機関を利用した際の乗車券。

・自動販売機でのジュースの購入。

・出入口で回収される入場券。

・従業員に支給する日当や宿泊費。

・適格請求書発行事業者でない者からの再生資源等の購入。

(請求書等の送付が困難で、一定事項が記載された帳簿が保存される場合に限る)

・古物商等が適格請求書発行事業者でない者から購入した棚卸資産

上記のような取引については、適格請求書発行事業者の義務が免除され、一定の要件を満たす帳簿の保存だけで仕入税額控除が認められます。

 

以上が免税事業者の事業者登録の手続きのポイントとなります。

免税事業者が登録申請をすべきかどうかの判断は、自身だけでなく売上先の仕入れ控除の要件を満たすか否かに関わってくるため、その判断が難しいこととなってきます。

迷われた際には、是非当事務所にご相談下さい。

 

  川庄グループ 川庄公認会計士事務所 鈴木


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