最終回の平均視聴率が42.2%をたたき出し、流行語大賞にもノミネートされるなど、大人気を博したドラマ『半沢直樹』。
普段銀行とお付き合いが無い方はもちろん、(実は)社長様でもよく分からない銀行の裏側が、少し分かったような気がしましたね。
ということで、今回は最近の金融事情について「少し」お話します。
(1) モラトリアム終了後の銀行対応
金融モラトリアム(中小企業金融円滑化法)が平成25年3月末に期限を向かえ終了しました。
これに伴い、4月以降の企業倒産が増えるのではないかと思われていました。
ところが、そのようなことは起こっておりません。(?)
実際、銀行さんにモラトリアム終了後のご対応を伺うと、
モラトリアム期間中と同等の、もしくはそれ以上のご対応をされているようです。
それはなぜでしょうか?
「地域銀行の立場もあり、簡単に融資先をつぶせない」という面もあると思います。
しかし一番の要因は、銀行を検査監督する「金融庁」から各銀行に対し、
「円滑化法終了後も融資先と十分連携を図りながら、貸付条件の変更等や円滑な資金供給に努めること」
という検査監督方針が発表されたことです。
また金融庁は金融機関に対して
「こうした検査・監督の方針を、営業の第一線まで周知徹底し、『実践』するよう促す」
とも述べています。
こういう背景もあってか、銀行さんも以前と変わらずリスケ相談には応じてくれています。
とはいえ、銀行さんも少ない人員で大量の仕事をこなしていらっしゃいます。
銀行に行く前に、まずは今後の方針を顧問税理士などに相談してはいかがでしょうか。
(2) チェックリスト
「信用保証協会」は社長様にとって、銀行さん同様大事な存在ですよね。
特に創業間もない場合には、保証協会付でない(いわゆるプロパー融資)はハードルが高く、
保証協会が「Yes」と言わなければ、融資を受けること自体難しくなります。
この保証協会付融資を受ける場合、信用保証協会に信用保証料を支払わなければなりません。
この保証料、借入額に対して0.50%~2.2%掛かってきます(福岡県)
借りる方にとっては、金利みたいなもので、保証協会にとっては収入ですよね。
チェックリスト(中小企業の会計に関する基本要領の適用に関するチェックリスト)
融資の際、これを銀行さんに提出すれば信用保証料率が0.1%下がります。
ここまではご存知の方もいらっしゃると思います。
このチェックリストの様式が、平成25年4月に変更されました。
変更後は、「中小企業の会計に関する基本要領」に従っていない項目が「一つでも」あった場合、
保証料の△0.1%は適用されなくなりました。
また、チェックリストに添付する形で、「確認・同意書」を提出しなければならなくなりました。
この同意書は、顧問税理士が信用保証協会に提出するもので、
「作成した決算書にチェックリストと異なる記載があれば、作成税理士の氏名などを税理士会や中小企業庁、信用保証協会に開示することに同意します」
という物々しい内容のものです。
ハッキリ言います
税理士が「すべての取引内容をこと細かく厳密に確認すること」は「事実上不可能」です。
もちろん、帳簿書類の範囲において、決算書は事実に基づいて作成されており、申告書も法令の規定に則して作成しております。
ただし、税理士や、もしかして社長様ご本人も把握していないところで、事実と異なる処理をしている「可能性」はゼロではありません。
結果に大きなズレは生じないと思います。
ですが、仮に、異なる記載をしていた旨を開示された場合、その影響がよく分かりません。
少しのズレであっても、その事実を開示されれば、「他の会社の決算書もズレているのでは?」
と思われてもおかしくないですよね。
そういう背景からか、チェックリストを提出する際に、以前は無報酬だったけど、今は報酬をとる税理士も増えてきているそうです。
その結果・・・
チェックリストを提出する企業(税理士)は「激減」しました。
話は少し変わりますが、信用保証協会付融資の貸出残高は年々減少しています。
福岡県信用保証協会の場合、H25年9月の保証承諾(金額)は、前年同月比75.3%の34,608百万円となっています。
つまり、信用保証協会の「収入」が減っています。
個人的には、今回の様式変更は、保証料収入の減少をストップしたい「保証協会の意図」が見え隠れしているなぁと思ったりします。
また気になるのが、チェックリストを出さなかった場合、「融資審査」が通りにくくなるのではないか?という疑問です。
結論は、チェックリストは融資審査に影響しません。
提出しなくても、審査上特に影響はありませんので、ご心配なく(笑)
川庄公認会計士事務所 藤川剛士
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