節税対策 - 2015-05-13

企業側から見たマイナンバー制度 パートⅡ

Posted by 川庄 康夫
Yasuo Kawasho

1. 個人番号(マイナンバー)および法人番号(法人版マイナンバー)を利用する事業者

個人番号利用事務に関して行われる、他人の個人番号を必要な限度で利用して行う事務を「個人番号関係事務」といい、これらの事務を行う者を「個人番号関係事務実施者」といいます。

 

したがって従業員を1人でも雇っていればその事業者は法人個人を問わず個人番号関係事務実施者に該当します。個人番号関係事務実施者等は、個人番号の漏えい、減失または毀損の防止その他の個人番号の適切な管理のために必要な安全管理措置を講じなければいけません。

 

税務関係の書類では、申告書・申請書・法定調書・源泉徴収票等にマイナンバーを記載する必要があります。平成27年10月以降番号の通知がなされますので川庄会計事務所へマイナンバーをお知らせください。

 

マイナンバーの利用は平成28年1月以降となります。

所得税の申告書は、平成28年1月1日の属する年分以降の申告書からマイナンバーの記載が必要となりますので、原則平成29年2月16日から3月15日迄の確定申告書の提出からとなります。

 

法人税の申告書は平成28年1月1日以降に開始する事業年度に係る申告書からの適用となります。相続税の申告書は、平成28年1月1日以降の相続または遺贈に係る申告書からです。申請書・届出書は、平成28年1月1日以降提出するものからマイナンバーの記載が必要となります。

 

2. マイナンバーの利用範囲拡大等について

番号法附則では、施行後3年を目途として公共性が高く情報連携することによるメリットの大きいものから範囲が拡大されます。①戸籍事務②旅券事務③預貯金付番④医療・介護、健康情報の管理・連携等に係る事務⑤自動車の登録等に係る事務の5つが対象となる予定です。

 

①の戸籍事務は、戸籍を添付しなければならない手続きにおいて添付が省略となります。たとえば、現在では贈与税の配偶者控除の特例、相続時精算課税または住宅取得等資金の非課税の特例を受ける際に、戸籍謄本の添付が必要ですが、今後省略されることとなります。②のパスポート申請の際にも、戸籍謄本、抄本の添付は不要となります。

 

③の預貯金付番については、公平で透明性の高い社会を目指し、社会保障制度の資力調査・税務調査の際に利用できるように検討されています。現在、厚生年金等については一定以上の給与収入がある人は年金が減額されていますが、今後は一定額以上の所得がある人が年金額の減額の対象になったり、一定額以上の預金等を保有している人も、年金額の減額の対象となる可能性があります。

 

税務調査の時に銀行への質問検査権に基づいて反面調査が行われ、個人の取引記録の照合が行われることがよくあります。現在はこのような反面調査や記録の照合に、調査官の時間と手間が取られ、調査件数の低下につながっていますが、預金にマイナンバーがつくことで税務調査の効率化が図られ、資産の保有状況の把握が容易となります。

 

④医療関連では複数の医療機関を受診した場合、同じ検査を求められても、医療機関で検査結果の情報の共有化が進めば、二重検査・二重投薬の無駄はなくなるし、身体への負担も軽減され、時間の節約、医療費の削減にもなります。

 

3. 税務当局の所得情報の捕捉が容易になる

① 離れて暮らす親を、兄弟それぞれが控除対象扶養親族にした場合に、本人はその事実を知らなくても税務当局には重複していることが明らかになります。

 

② アルバイトしている子供の年収が所得基準を超えていることを失念して扶養親族にした場合にも同様です。

 

③ 所得の状況と保有資産の状況をよく検討し、所得の漏れを推定できるようになります。法定調査(報酬支払調書、源泉徴収票、不動産の使用料支払調書等)の活用で所得の補足が可能となり、銀行口座、不動産に付番をすること、貴金属の購入、売却に付番することにより、保有資産の補足も容易となるため、税務調査の仕方も大きく変化するものと思われます。最終的には所得税は総合課税となり、分離課税はなくなるものと思われます。

 

 

川庄会計グループ 代表 公認会計士 川庄康夫

Posted by Yasuo Kawasho
代表取締役 川庄 康夫

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