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川庄 康夫 Yasuo Kawasho |
1.これからは税務調査の黄金期間
国税庁の人事異動は毎年7月10日に実施されます。人事発表後、1週間程で新しい勤務先(各々税務署)へ配属となります。査察部門(マルサ)は年中無休で脱税者の情報収集や、その整理に追われていて、毎年200件弱の処理件数で告発率は60%強です。平成25年度は185件の処理件数で告発件数は118件、告発率63.8%、平成26年も同じようで180件の処理件数で112件の告発率で62.2%でした。一般的にマルサの対象となるような方は少なく、一般的に税務調査といえば任意調査です。事前連絡を受けて調査が始まることが多いのですが、無予告調査(ある日突然税務署の人が調査に来ること)も行われます。
この無予告調査は現金商売とか広域に支店等も展開している事業者で現状を直ちに押えないと書類を隠される可能性がある場合や、書類の改ざん等が予想される場合に行われますが、双方にとって効率的ではないと思います。以前は現金取引の多い病院もありましたが、今は殆どが保険適用になりましたので、病院の無予告調査はありません。
以前飲食業のお客様で無予告調査を受けたことがありましたが、申告是認で終了しました。現金商売は無予告(いつ税務調査に伺いますと連絡しないこと)で現場に踏み込まれた時に勝負が決まります。この時も何も問題はなく、後日総勘定元帳や証憑書類を調べられても税務での指摘事項はありませんでした。
税務調査の目標件数がありますが、調査による追徴税額のノルマはないと言われますが、目標はあると話された調査官がいました。
税務調査官も調査による査定をされるそうです。ある調査官は「7月10日の異動日から12月末日迄の調査内容によってその調査官の評価が決まるので、この期間に実績が高ければ「金」1月から3月迄が銀、4月から6月迄が評価として〝どうでもいい″の銅」と言っていました。
毎年7月10日が異動日のため、実際の調査は6月中旬迄には消化しなければいけませんし大体調査件数のノルマは達成していない人が多いので、4月からの調査は消化試合的な要素を帯びることが多いのです。この時期に調査を受けるときは〝ラッキー!″となるのでしょうか?
今の調査は調査先の下調べをして(?)力を込めてやって来ます。プライドを持った調査官は売上仕入の期間のズレを発見しても喜びません。重課税のかかる調査項目の発見に注力します。しかし重加算税の対象となる事案は、そんなに多くないような気がします。重課対象は「事実の仮装、隠蔽行為」がなされた場合ですから、意識を持って帳簿や証憑書類を改ざんした場合が該当します。たとえば期末の実地棚卸高の金額を、利益を圧縮する目的で実際の棚卸額よりも少なく計上した場合とか、建設工事業で工事台帳を書き換え工事原価の付替えをして利益を少なく計上したような場合には明らかに帳簿の改ざんに該当するので、壽加算税の対象になります。
今は売上除外をするような会社等は、あまり見かけなくなりました。主に経費の妥当性の問題とか、消費税の可否等で議論になることがあります。たとえば、ギフト券を差し上げる場合、差し上げた方が事業に関連している場合には経費になります。名前だけ記載してあっても、事業関連性のなさそうな親戚や友人の名前の記載ですと疑いをもたれてしまいます。記載した人の仕事や役割、当社に対する貢献等を説明できるよう稟議書、取締役会議事録等で残すことが望ましいと思います。
あまり多くギフト券を差し上げると税務官も不自然と思うことになります。また、福利厚生費で計上する〝おやつ代″も常識の範囲内だといいのですが、年間に500回も〝おやつ″が出てくると〝オヤ?何だろう″1年は365日しかないのに500回も〝おやつ″を出すのはおかしいと思われ、調査官はおやつの購入先であるスーパー等へ反面調査に行くことになります。おやつと考えられないような〝アジの干し物″〝ショーツ″等がおやつに品転して記載されていると、この福利厚生費に記載してある〝おやつ″は全て否認となり本当に〝おやつ″として支給したものまでが必要経費と認められなくなります。スーパー等の領収証は明細が記載してあるレシートを添付しておくとわかり易くて良いと思います。
税務は社会通念上常識的な基準で判断しています。
川庄公認会計士事務所では、国税OBの税理士による「税務調査対策セミナー」と「模擬税務調査」を実施しています。
川庄会計グループ 代表 公認会計士 川庄康夫
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Posted by Yasuo Kawasho
代表取締役 川庄 康夫
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