Posted by | 川庄 康夫 Yasuo Kawasho |
1.相続税を広く薄く負担する
平成27年1月から相続税法の改正がなされ相続税基礎控除の引き下げと相続税率、贈与税率の引き上げが決まりました。
相続税の基礎控除は従前の60%(基礎控除、3,000万円プラス法定相続人×600万円)となったため、例えば相続人が配偶者と子供2人の場合では改正前は8,000万円だった基礎控除額が4,800万円に引き下がることになります。これにより4,800万円以上を超える相続財産をお持ちの方は相続税がかかることになり相続税の申告が必要となります。
相続財産には不動産、預貯金、株式などの有価証券などのほかに生命保険も対象となります。これらの合計が基礎控除額(上の例では4,800万円を超えれば相続税の申告が必要になり相続税が発生します。
配偶者については「配偶者の税額軽減」制度があり、遺産総額の二分の一か1億6千万円のいずれか多い金額までは課税されません。(申告は必要です)
したがってこの制度を利用すれば相続税の節税をすることは可能ですが子供さんが未成年者の場合には、家庭裁判所に特別代理人選任の申請を行い特別代理人を決定してもらうことになりますが、裁判所では子供の権利が優先され配偶者の税額軽減を利用するための財産の分配はなされません。
相続税の申告は被相続人が亡くなってから10カ月以内に行わなければなりませんが被相続人が確定申告をしなければならない人である場合には、亡くなってから4カ月以内に確定申告に準じた「準確定申告書」を提出しなければなりません。
相続税申告書を提出した後1年6か月ぐらいに相続税の調査がありますが、相続税の調査はすべてが対象となるわけではなく疑義がありそうな申告を対象に選定されます。
2.税務調査の留意点
①法人税、所得税同様に相続税の調査においても、聞かれたことだけを答える。決して余分な話はしないが基本です。
今迄査察以外の税務調査は何月何日の何時に自宅へ訪問しますと事前連絡があります。この間に申告内容を再度確認することはできますが隠すことは得策ではありません。
②調査初日の午前中(10時~12時)又半日程度、被相続人の死亡時の状況を聞かれます。
たとえば急に亡くなられたのか、病院の入院期間は長期にわたったのか?
亡くなる前に預貯金の引き出しがなされる可能性があり、その場合には何に使ったのか調査があります。
調査官「この預金は誰が引き出しましたか?」
相続人「知りません」
甲「この預金引き出しの筆跡は誰が書いたものですか?」
乙「私が書きました」
甲「引き出した現金はどこにありますか?」
乙「知りません」
甲「貴方が引き出して知らないはずはないでしょう?」
「知りません、わかりません」と突っ撥ねることができればいいのですが難しいと思います。
被相続人の趣味も必ず聞かれます。旅行が趣味、海外旅行(お金は相当使ったであろう?)海外旅行に頻繁に行っていると、海外銀行口座を開設していないか、海外不動産を購入していないかを念入りに調査されます。
お酒はどうですか?どんなお店で飲んでいましたか?それとも自宅で晩酌してありましたか?(お金は飲み代に消えたのか?それとも特定の女性はいたのか?)
美術品、書画、骨董であれば相続財産計上してあるはずであるとか?自宅訪問時に美術年鑑等が本棚に鎮座していると特に念入りに調査されます。
株式売買が趣味で信用取引をしていたとなると多分信用取引で負けて財産が減少しているかもしれない(信用取引して勝った人は少ないそうです)
③家族名義の預金の調査
贈与をした場合にそのぞうよについて贈与税の申告をしていたり、贈与の契約書があると問題になりませんが、被相続人の通帳から家族(子供)名義預金が形成されていると鋭い質問が飛んできます。
預金通帳や証書は作ったのは誰でその管理は誰がしていたのか。贈与であれば別に問題になりませんが、贈与を受けたことになっている人がその贈与の事実を知らなかったり、預金通帳の印鑑を贈与を受けた人が管理していない場合など実質的にその所有が被相続人であると被相続人の相続財産として申告しなければいけません。
銀行の貸金庫は必ず見られます。又貸金庫の開閉の年月日と日時もチェックしていますので、その時の金庫の中の状況を詳しく説明を求められることになり、不自然があると更なる追求がありますが一般的にはあまり問題にならないと思われます。
川庄会計グループ 代表 公認会計士 川庄 康夫
Posted by Yasuo Kawasho
代表取締役 川庄 康夫
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