節税対策 - 2016-10-31

税務調査の現場にて

Posted by 川庄 康夫
Yasuo Kawasho

1.税務署の人事移動前の事前予約

毎年税務署の人事異動は7月10日に行われます。例年異動後に税務調査先の連絡があるのですが、「人事異動前に〇〇〇会社の税務調査へ伺いたい。ついてはクライアントとの税務調査の日程調査をしてほしい」と連絡が入りました。

 

「税務調査は貴男が訪問されるのですか?人事異動後に他の調査官が来ることはありませんか?」と尋ねると

その調査官は「私は多分異動にならないと思います。もし他の税務署に異動になっても調査先の選定が終わっていますので税務調査は予定通り行います」

 

川庄「なんでそんなに焦って早くから税務調査の連絡をしよると?」

調査官「できるだけ多く税務調査をするようにと上から指示が出ています。早くから事前連絡しないと税理士先生、社長、税務署の調整が必要で調査ができなくなると困ります。ノルマとは言いませんが目標を厳しく言われていますので申し訳ありません」

と説明があり税務調査を受けることになりました。

 

2.税務調査初日

税務調査当日、「西福岡税務署の××です。当初は個人課税四部門と連絡をしてましたが個人課税六部門へ異動しました。新しい名刺が間に合わず、ボールペンで〝四″を〝六″と訂正しています。」との説明があり税務調査が始まりました。

 

一般的に税務調査初日の午前中は税務署が事前にホームページ等で調べてきたものと社長や会社の責任者(説明できる人)からの聞き取り調査で会社の全体像を把握して、その後に売上高を計上するまでの仕事の流れとその根拠となる証憑書類などをチェックします。

 

以前は税務調査に来て社長などからあまり話を聞かず、いきなり3年分の総勘定元帳と領収証を見せてくださいと言われ、それらを丹念に見ることから調査を開始する人もいらっしゃいましたが最近は教育が行き届いているのでしょう、みなさん午前中は業務全体を把握することに努められます。

 

それは聞き取り調査に時間をかけると問題点が発見し易いからです。帳簿を見て間違いを発見してもそれが転記ミスとか入力ミスなのか故意に数字を変えたのかはわかりません。

 

会社の実態を把握するとどの部分でミスが起こるか又誰が記帳しているか、それらを誰がチェックしているかを理解することによって見るポイントが絞られます。

 

税務調査官は、身内が記帳とチェックを行っていると意識した誤りがあるのではないかを疑います。また他人がそれらを行っていると使い込み等の不正はないかを疑ったりしますので内部牽制制度が機能しているかを検討することになります。

 

税務調査があることで悩んだりすることもあるとは思いますが拒絶することはできません。しかし仕事等の都合で日時を変更することはできます。税務調査を前向きにとらえて社内不正が発見されたり、間違った処理をしていて気がつかなかったことが発見されたりとプラス面もあります。

 

指摘事項があればその改善事項を約束することで経営にプラスと役立てることもできます。ただ見解の相違で多額の税金が出ると考え込むこともありますが。

 

今年の税務調査の特徴として"売上が正しく計上されているか"を特に厳しく見ています。最近の税務調査で売上除外が(仮装隠密行為)の事案が多かったのか、税務署の方針として重加算税の対象となるものを発見する様に指示されているかは不明ですが、ある現金商売のお客様の税務調査に立ち会った際に1ヶ月分の取引を全てチェックし、売上が正しく計上されていることがわかると、「この会社は間違ったことはしていない」と判断したのか経費のチェックに移りました。

 

「経費の計上は何でも全て計上していますか?それとも事業用でない経費は除外していますか?」との質問があり「支払ったもの全てを計上はしていません。経費性がないものははずしています。どの様に処理するのがいいんですか?」と尋ねると調査官は「グレーなものも全て計上し理由をつけて自己否認する方法をとった方が確認し易い」との回答でした。

 

一部交際費で以前の会社の人の結婚式に子供二人の旅費も含めて計上されていましたがその理由を説明すると〝まあいいでしょう″と大目に見てくれて3年間是認(修正すべきものはないという)通知書をいただきました。

 

 

川庄会計グループ 代表 公認会計士 川庄康夫

Posted by Yasuo Kawasho
代表取締役 川庄 康夫

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