経営コラム - 2020-10-20

税務調査再開

1.税務調査の中断

 昨年中国武漢で発生したコロナウイルスは世界で蔓延し、我国も年明け以降コロナ患者が発生し感染が拡大しました。当初、川庄会計事務所では所得税の確定申告終了後、数件の税務調査の予約が入り、お客様との対策打合せ等を行っておりましたが3月中旬以降の税務調査は中止となりました。

税務署「今後の調査については追って連絡します。とりあえず中止です」

川庄「コロナウイルスの感染が終息したら、現在選定中のお客様は調査対象になりますか?」

税務署「いや、分かりません。調査先を再度選定するかもしれませんが、どうなるかは分かりません」

 コロナ禍での経済活動の停滞により一気に経済が悪化し、中洲では約1,000件のバー、クラブ等が廃業、解散に追い込まれました。コロナ禍でも経済と共存しなければならないとの考え方により、Go To TravelGo To Eatキャンペーンが始まりました。これらの対策によって人の移動制限が緩和され、景気も徐々に上向くものと思われます。9月中旬に10月以降お客様の税務調査に伺いたい、お客様との日程調整をしてほしいと博多税務署、福岡税務署から電話があり、お客様と税務調査の打合せをし、問題になると思われる事柄について対応策を話し合いました。いよいよ税務調査の再開です。税務調査官は6ヶ月間調査の現場に出ず、納税者の申告内容のチェックや研修を行っていましたので、レベルも上がって調査視点に変化があるかもしれません。今回、持続化給付金を法人は200万円、個人は100万円受けることができます。今まで無申告だった人が昨年の申告を遅れて行い、今年の売上高が3050%以上減少したので給付金を受領している人の話も聞きます。

今まで無申告だった人の調査を重点的に行うと公平な納税になると思えますが?

調査にあたって、調査先での換気は良好か、窓の開閉は十分か、調査官とお客様、会計事務所職員が三密にならないような部屋の状態になっているかなどを確認した上で決まりますが、1件は税務署で行うこととなりました。

 

2.税務調査官の見るポイント

①脱税と見なされないように

 調査官は重い罰金、重課税を科すとその人の評価アップになる()と言われています。

以前、税務署の人から「鼠を捕らない猫はいらない」「給料泥棒になるな」という言葉を聞いたことがあります。節税はいいが、脱税はいけません。脱税とは事実の仮装・隠蔽行為です。それ以外は脱税となりません。しかし、調査官は重課税は取れれば取りたい気持ちを持っているのでしょう。例えば期末に売上原価を算定するため、棚卸を行います。棚卸書を作成し、貸借対照表に計上することになります。棚卸表から転記がたまたま洩れた、意識して少し減らして計上したのではないかと見られるものに関しては、調査官は必ず聞きます。「意識して洩らしたのではないですか?」と。棚卸資産を意識して除外すれば脱税行為となり、重課税の対象となり35%の重課税となります。以前の調査で、意識をもって棚卸資産を少し除外して計上したように誘導尋問をし、質問応答書にサインを求められたことがありました。質問応答書にはサインはすべきでなく、どうしてもサインを求められると見解の相違や誤った事項についてよく読み込んで、除外の意識がなかったなら、その旨を強く主張し、訂正しなければいけません。変にサインをすると後で取り返しのつかないことになります。

 日本は自主申告の国です。自ら進んで申告をするにあたり、まず証拠書類は納税者が揃えなければいけません。税務当局は反面調査等により反証します。そのため、まず最初に資料提示義務があります。支出を必要経費にするには事業関連性が必要です。特に飲食代、ゴルフ代、商品券等は誰と会食したか?その人との事業関連性について聞かれます。それを立証するために、領収書の表面に相手先の氏名を記載しておくと後日立派な証拠となります。その内容が違うということを反証するのが税務署の立替となります。スーパー等の領収証よりも購入品の記載があるレシートがベターであり、家事用はペン等で消してください。

                                   川庄会計グループ 代表 川庄康夫


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