節税対策 - 2014-11-05

平成27年以降の増税に対しての対応策

Posted by 川庄 康夫
Yasuo Kawasho

1. 将来の増税に備えて

 

今の政府は、我国の財政状況と経済状況を考慮し、税金の負担を個人によせる方向で検討しているように思われます。

 

歳出の約3分の1をしめる社会保障関係支出は、団塊の世代が全員年金の支給対象となったため飛躍的に増加しています。又高齢化に伴って医療費、介護関係支出も増加の一途です。

 

また、アベノミクスの第3の矢である「成長戦略」へつなぐ為の第2の矢「財政支出・公共投資」は増加しています。その為、消費税を3%上げても国の財政収支の改善にまで影響は及んでいません。

 

今迄の経済理論では、為替相場が円安になると輸出ドライブがかかり輸出増になり、それに伴い景気が良くなると言われていましたが、2008年秋のリーマンショックを機に輸出型企業は工場の生産拠点を海外に移したので、円安になったからと言って日本国内から輸出が増える訳ではありません。

 

むしろ円安に伴って、原油、食料品などの原材料の輸入増により貿易収支は赤字となり、経営収支も大幅な赤字となりました。

 

近頃では「行き過ぎた円安は悪だ」との意見も出始めており、アベノミクス第3の矢がうまく作動しない可能性もでてきました。

 

公共投資、財政支出の増加と社会保障費の増加を賄うため増税は避けられません。一方海外の企業を我国に呼び込んだり、我国の企業の世界市場での競争力を高めるには、税コストを諸外国並みの法人税率30%以下にしておく必要があります。その為、消費税、所得税、相続税等で税収確保をしなければいけません。

 

平成27年1月から相続税・贈与税の税率アップも決定していますし、相続税については基礎控除等が40%程縮小されることにより、従来よりも大幅な納税者数の増加が見込まれています。相続税を納税する人の割合はH23年度4.1%でしたが、来年からは約2倍程度の7~8%になるだろうと言われています。

 

子供2人が相続人の場合、基礎控除が4,200万円しかありませんので、自宅(不動産)に預貯金・有価証券等が基礎控除以上にある場合は相続税の課税対象者となってしまいます。

 

又、相続時の生命保険金については法定相続人1人当たり500万円の控除があります。これの廃止等についても、以前政府税調で話題にあがっていました。

 

すべての税は社会環境の変化に対応しなければなりません。

 

所得税については、制定当初の目的を達成した配偶者控除の見直しや、生命保険料控除、地震保険料控除の見直しも検討されています。

 

サラリーマンの必要経費である給与所得控除も縮小されました。平成27年以降は1,000万円以上の年収を得ているサラリーマンの給与所得控除は一定額までとし、高額納税者を課税のターゲットとしました。

 

平成26年27年と消費税率を3%~5%上げることに国民の了解をもらうためにも、取り易い高額納税者から税金を徴収していることを見せ、一般の人達の不満をやわらげようとしています。

 

個人の事業所得者や、不動産所得者の青色申告者の要件である記帳義務が、平成26年1月から白色申告者にも適用されています。

 

白色申告者は帳簿の記帳義務がないため、納税者のいろいろな資料から所得を推計して課税をおこなっていましたが、会計帳簿の備付が義務化されたので、税務調査もやり易くなり、結果として課税もし易くなります。

 

こういった課税範囲の拡大のため、諸々の事も考え徐々に法整備(平成26年1月施行国税通則法改正)も行ってきたものと思われます。

 

私見ですが、将来、所得税率の最高税率55%となり住民税率10%との合計で65%の税率になるのではないかと思われますし、取れるところから取った後は、課税最低限の見直しもあるかもしれません。

 

こういった状況の中で、できる節税を行う必要があります。こまめな必要経費の算入、法人税率と所得税率の税率差を利用した節税、相続税対策としての歴年贈与、相続時精算課税を利用した事業承継等も考慮しなければいけません。

 

次回はその具体的な方法ややり方記載します。

 

 

川庄会計グループ 代表 公認会計士 川庄 康夫

Posted by Yasuo Kawasho
代表取締役 川庄 康夫

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