Posted by | 川庄 康夫 Yasuo Kawasho |
1.相続をめぐる紛争の状況
人口動態総覧によると平成25年の死亡者数1,268千人、平成26年の死亡者数は1,269千人で平成28年はほぼ130万人弱の方が亡くなられています。
一方相続に関する紛争として、家庭裁判所への相続関係の相談件数は平成24年度は174,494件あり、この10年で約1.9倍増加しています。
遺産分割事件(家事調停とは、相続人等の間の遺産分割に関する争いについて家事審判官(裁判官)と民間から選ばれた調停委員が間に入り、非公開の場でそれぞれから言い分をよく聴きながら話し合いによって適切で妥当な解決を目指す手続き)は15,286件で、この10年で1.4倍に増加しています。
死亡者数に対して10%以上の方が相続の相談に家庭裁判所を訪問しています。死亡者130万人弱のうち相続が発生する被相続人の割合を50%と仮定すると40%弱の人が紛争によって家庭裁判所に相談していることになります。
これから類推できることはほぼ50%以上で、相続に関して、何らかの紛争が起こっているということです。
争族を回避するために公正証書遺言書を作成したにもかかわらず、その内容に不備があり一層揉め事になっているケースが最近よく見られます。
2.公正証書遺言作成に当たっての留意点
被相続人は、遺言書を作成すれば自分の財産を法定相続人以外の者へも全財産を遺贈することができますが、残された家族が生活できなくなる状況が生じる可能性があります。
これらを防ぐ意味もあり民法1028条において相続人が最低限相続できる財産を決めています。これを「遺留分」と言います。
侵害された遺留分を確保するために遺留分を侵害している他の相続人や受贈者たちに対して「遺留分減殺請求」をすることになります。この「遺留分減殺請求」をする期限が決められています。それは、相続開始及び自分の遺留分が侵害されていることを知った日から1年です。あるいはそれらを知らなくても相続開始の日から10年を過ぎると時効となります。そのため時効の前に家庭裁判所へ訴えることが必要です。
夫婦間に子供がいない場合の相続人は配偶者と被相続人の親、もし親がいなければ被相続人の兄弟姉妹となります。兄弟姉妹に遺留分はありませんが直系尊属の親(父、母)には遺留分が発生します。そのためには相続財産は配偶者へ相続させるとの遺言書が必要となります。
最近の事例として兄弟3人が法定相続人の場合に長男に被相続人の財産全てを相続させるとの公正証書遺言が出てきました。他の相続人も被相続人の財産を承継する権利がありますと訴えようにも財産がどれだけあるかの把握が難しい場合には裁判に訴え、職権で全財産を把握してうえで財産の分割をすることになります。
遺言書に分け方の記載がないものもあります。以前「兄弟仲良く末永く先祖を守ってほしい」とのみ記載されているものがありました。この時は一旦配偶者へ全財産を寄せて代償分割で各々兄弟へ遺留分相当額を配偶者(母親)から各人へ相続させることで遺産を分割しました。
今、財産が3,000万円以下の方が一番揉めるそうです。全相続財産が3,000万円あり、そのうち居住用財産がほとんどという場合には、その居住用財産を売却して分割せざるを得ないことになります。
川庄グループには「一般社団法人福岡相続相談センター」があり月に50~60件の相続・事業承継の相談を受けています。相続では一旦揉めると今後の兄弟間の修復は難しく兄弟の行来がなくなることもあります。もしもの時の相談窓口として「福岡相続相談センター」を活用ください。
「福岡相続相談センター」の電話番号 0120-459-081
川庄会計グループ 代表 公認会計士 川庄 康夫
Posted by Yasuo Kawasho
代表取締役 川庄 康夫
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